【議運と9月議会】
2022年8月27日
9月議会を控え議会運営委員会が開催されました。
町議会は3の倍数の月に開催されます。
3、6、9、12月です。
今回の条例案については、国の法改正に付随する条例改正が主となります。また、補正予算についてはコンパクトシティ関係、庁舎横の旧有線放送建物の改装関係、農業の補助金等々が提案される予定です。
もっとも9月議会の大きなテーマは、決算です。この時期は全国津々浦々の自治体で、過年度の事業で使われた税金と内容の総括がおこなわれます。
決算とはすで使われたお金の審査です。そのため仮におかしいことがあっても税は戻ってきません。審議は賛成・反対ではなく、認定・不認定という形を取ります。
ただ自治体の会計は千円単位の予算計上ですが、決算に関しては1円単位で記載されます。1円でも間違えられない緊張感が役場、議会の双方にあります。決算書については、今週示される予定です。今から楽しみです。
【議員定数について】
最近、お隣の近江八幡市では次回選挙から定数を2議席削減することが決まりました。竜王町議会は、人口比率で見ると住民950人当たりに議員一人で、県内6町においては真ん中くらいの割合となっています。昨今の風潮として議員は議席を減らすべし、という意見が多くあります。これについて少し考えてみたいと思います。
私は色々な方に、若者のなり手を増やすには「数を減らして報酬を上げたら良い」という意見を聞きます。個人的な意見ですが、報酬の増額となり手不足解消には関係はありません。
たとえば愛荘町は県内6町で一番高い議員報酬の24万円ですが、今年の2月の選挙は無投票で決しており議員の平均年齢は68歳です。
田舎あるあるですが、選挙にならないのは「選挙の前の選挙」があって、地域の推薦がないと出馬できない、勝手に出てもそっぽを向かれるという「ガラスの天井」があります。無投票になるのは、出る杭は打たれる風土の問題であり、報酬を増額してもなり手不足解決になるという話ではありません。
全国の自治体の事例を見ると、50歳以下は議員報酬を値上げする特例(長野県生坂村)があったり、30万円以上の議員報酬があり若者の出馬が多い茨城県の町(境町、阿見町、茨城町、五霞町)もあります。これらは明確に若い世代を地域の代表に選ぶ、という意志を持つ自治体です。
一方で、若者にしか出来ないことはなんでしょうか。
今の竜王町議会で一番若い議員は私です。といっても今年37歳でもうすぐ四十郎ですが。若者の私が議会で一般質問していることは、Wi-Fiの整備、制服のジェンダーレス化、防災アプリの活用など、一見それっぽいですが、べつに若くないと出来ない質問ではありません。
かりに高齢であっても、若い感性を持っていれば二十代、三十代、四十代の意見は代表できる、というのが私の意見です。
話は逸れますが、麻生太郎さんという国会議員がいます。昔は創氏改名発言などありましたが、かなり若年層から人気があります。かつて2008年に自民党総裁選に出馬したときは秋葉原の駅頭でゴルゴ13やローゼンメイデンの話をして、あの辺を歩いている若者の心をわし掴みにしていました。
それから干支が一周した今でも相変わらず若年層からの支持の厚い麻生太郎氏ですが、衆参合わせた500人以上いる日本の国会議員のなかで、麻生氏は上から2番目の超高齢議員です。
ちなみに最高齢は和歌山の名前は忘れましたが幹事長をしていた方だったと思います。麻生さんは80歳を超えています。SNSはしていませんし、ユーチューバーやティックトッカーでもないので、主体的なネット発信は一切やっていないにも関わらず若者人気があります。
なお麻生氏いわく、若者が政治に関心がないのは別に悪いことではない、そうです。誤解のないようにきちんと説明すると、アフリカの政情不安の国々では投票率は90%を超えますが、それは選挙の結果が自身の生命財産に直結するリアリティーがあるためです。日本は良くも悪くも選挙の結果によって、明日から戦争になったり、若者が徴兵されるようになったり、ということがありません。つまり若年層の無関心は、平和な国であることの裏返しなので、それ自体悪いことではないという考え方です。
なかなか説得力があるし、こういうことを堂々と言えるので若者からも人気があります。繰り返しますが、麻生太郎は80歳を越えたおじいちゃんです。若者世代の意見を代表するのに議員本人の年齢など関係ないのです。
話は竜王の議員定数と報酬に戻ります。私は選挙に出る前は報酬はもっと低くても良いし、数は少なくても良いと思っていました。しかし実際に議員になってみると、数はこれ以上減ると委員会は回らなくなるし、こんなに低い報酬ではやってられない、と思うようになりました。外側から見える議会と、内側から見る議会には大きな隔たりがあります。
議員という仕事は明確に土地に縛られる職業です。簡単に海外に行ってはいけませんし、入院するにも議長の許可が要ります。何かあったときに議決をする立場であり、災害の発生時に地域にいなかったら道義的な責任を問われます。報酬は私の場合手取りで18万円台なので、普通にサラリーマンをしていた方が割が良いです。副業も地域からおいそれと出られないので、選択肢は狭くなり、議員という枠の中で生活をしていくのはかなり難易度が高いです。
また、竜王町議会の定数は12人ですが、仮に10人に減らしたとします。そうすると何が起こるかというと、まず前回の選挙で下から2番目の当選人だった私は落選します。一番若いのに。
また、議会の委員会は常任委員会が3つ、特別委員会が3つ、広域の行政組合が3つ、議事進行を決める議会運営委員会と、定例で全員が出席する全員協議会があります。
議会で最も時間をかけているのがこれら委員会での質問や書類の読み込みです。ここは住民サイドからはあまり見えない部分ですので、何もやってないように見えるのも無理はないと思います。しかし、これ以上議員が減ると委員会や広域組合の個人負担が増えるので議論の内容は薄まると思います。
私は先日彦根市議会に視察に行ってきました。最も驚いたのは、委員会の会議をネット中継していることでした。竜王町では傍聴は許可されますが、ネット中継はおろか委員会の議事録すらネット公開されていません。これでは誰が委員会で積極的に発言しているのか知りようはありませんし、極端に言えば寝ていてもバレません。もちろんそんな議員はいないと思いますが、公開されない議会に緊張感がないのは確かです。
結局内側から見た私の結論は、報酬や定数をいじる前に、公開のあり方を検討して住民への透明化と議会の活性化を一層進めることが必要、というものです。その上で、必要なら定数を削減したら良いですし、これだけ頑張っているんだという理解が得られたら報酬は増やすべきです。
数字だけ議論しても意味がないので、まずは議会が正当に評価されるだけの透明化を進めよう、ということです。先日私は議会ICT化特別委員会の委員長となりましたが、竜王町議会はIT化が遅れに遅れています。これからの時代の透明化や議会の活性化にICT機器の導入は必要不可欠です。たとえば委員会の傍聴がネットでも出来れば、家で子育てをしながら議員も出来ますし、住民からの目線を感じられたら発言する議員は増えます。実際に市議会では既にそうした取り組みが行われています。
こうしたことを進める余地があるうちは、私としても一議員として議会の活性化に貢献できる部分はあると思っています。