令和5年度の補正予算の審議を行いました。
例年3月議会では減額の補正予算の審議がおこなわれます。
減額とは簡単に言うと「使い残した予算」です。
一見して予算が余ったら税金を節約できたとも解釈できますが、実際はそれだけではありません。
たとえば当初に想定していた計画が十分にできなかったために残額が生じていたり、単に見積もりが甘かったり、事業の宣伝不足のために予算を使い残した場合もあります。
もしその予算が余ることが想定できて、最初からもっと他の事業にお金を割いていたら充実した行政運営が出来たかも知れません。
一円単位で「ピタリ」ということはまずありえませんが、金額が大きく残った事業については、「どうしてそうなったのか」を聞いて「ちゃんと計画した通りに事業をおこなったのか」を質す必要があります。
これが減額の補正予算の審議です。
具体的に本日質疑では、450万円のクーポン事業の予算の残額を伺いしました。
詳しい内容は割愛しますが、生活困窮のクーポン給付対象とされた住民税非課税世帯の800世帯のうち、7%程度がクーポンを取得していませんでした。
全体の約50世帯にあたります。
一見してこれは非常に奇妙なことです。
数万円単位のクーポンを貰える場合、普通は申請をするとおもいます。
そうならなかった世帯の分析結果を伺いました。
結果的に7%には、企業寮に住所があるが現在はおそらく転居していると想定される世帯、所得の申告がない世帯、クーポン受給を意思を持って断った世帯などが含まれているという話でした。
つまり対象者本人にたどり着けないパターンや、たどり着いても貰わない選択をしたケースであり、7%という数字は過去のクーポン事業でも見られた割合であるということでした。
予算を作る段階では100%使われる想定で予算計上をしないといけません。最初から7%を引いて予算案を作ってしまうと、切り捨てる世帯が出て来てしまう可能性がためです。いってみれば毎回7%の世帯が申請しなくても、この100%の予算計上は続ける必要があります。結果的にどうしても予算は余ります。これ行政の構造上仕方ないことです。
担当者からはしっかりとした説明がされたため450万円の減額の補正予算については納得をしました。
上記はあくまで一例ですが、このようなことが何十という項目も挙がっている減額の補正予算を見ていく作業が予算委員会ではおこなわれています。
すべてを網羅することは難しいですが、担当課の窓口に直接行ったりして情報収集をするなどして内情の把握に努めています。
【定数削減の話】
本日は議会改革特別委員会も開催されました。
一日で何回も会議をして、その都度全く異なる話題を皆で議論するのも議会の仕事です。
今日の委員会では、宿題として挙がっていた住民さんへのヒアリング結果を全員で共有しました。
ヒアリング内容は「議員定数についてどう思うか」というものです。
私は最初の想定では、定数を減らして報酬を増やすべき、という意見が多いのではないかと思っていました。
ただ今日の全体共有のなかで一番多かった意見は非常に衝撃的でした。
そもそも「議員が何人いるかも知らないし、いくらもらっているかも分からない、それほど関心もない」という意見がヒアリングした結果として最も多いものでした。
これが真理なのかなとおもいました。
議員各位からは、議会のPRが足りない、活動が知られていない、という声が多く出ました。
議会広報という冊子も3ヶ月に一回発行していますが、読まれていないか読んでも難しいから分からない、という意見もあったようです。
定数削減の前にどうやって広報やコミュニケーションをするか、考え直す必要があるということなりました。
議員は減らすべきだとか、据え置くべきだとか、報酬はどうかという議論をいくら熱っぽく議論しても、住民サイドには見えない・聞こえてこない・関心がないということを痛感しました。
【12人は多いか少ないか】
私は12人の議員は決して数の上で多いとは思っていません。
これまでムラ型選挙といわれてきた竜王町も選挙の転換期にあるいま、地域推薦という仕組みを超えた立候補者も増えています。
そうすると「12」という意味も変わってくるはずです。
これからの時代は若者、女性、子育て、高齢者、よそ者、もっといえばサラリーマンなど、色々な名札やラベルを持つ人が議会に出ることで、多様な議論をする時代になるはずです。
これまで東西南北の各地域といった局地的な利益を背負っていた代表者が、ゆるやかに「世代」や「属性」を代表する議員へと置き換わりが進むはずです。
竜王町は明確のその過渡期にあるため、いま定数を触るのは良くないのではないかというのが持論です。
ただ難しいのは、地域の論理も重要で、私が知る限り町全体を満遍なく理解することはかなり難しく、個々の地域について深く理解している代表者が各所から偏りなく集ることも重要だと思います。
竜王町は32集落ありますが、一つひとつが個性的で文化も異なります。町としては一つですが、村時代には二つの村があり、もっといえば江戸時代には色々な藩や天領と言われる幕府の領地でした。竜王町は歴史的に見えると、統一的に運営された経験がほぼない集落の集まりです。
そのため大字が違えば歴史や風土や人当たりも微妙に異なります。
そうした細かいさじ加減を理解するのは地域に携わる仕事をするうえで絶対的に必要なスキルだとおもいます。
話がすこし脱線しましたが、「全町を代表する議員」というのも竜王町の歴史文化を考慮すると嘘くさい気がします。
もしそんなことが可能なら、議員は12人といわず1人でも良いし、もし1人で済むなら議会はいらず町長1人で仕事は間に合うとおもいます。
結局のところ議員が12人も必要なのは、竜王町が地域毎にバラバラであり、様々な地域性とともに、多様な世代やニーズを代表する必要も同時にあるため、「今は」それらの受け皿としてなるべく多くの議員数を保持するほうが良いと思います。
あくまで持論ですが、私が竜王町に来て9年になり、地域についていやと言うほど考えさせられることの連続のなかで、そのように思います。
長くなりましたが、議会は烏合の衆ではなく多士済々であって欲しいとおもいます。そのため議場の外に伝わらなくても、愚直に地域の声は伝えていきたいとおもいます。