【繰上げ当選を考える】

都議会で選挙期間中に免停中で事故を起こした議員が話題となっています。23日には臨時会が招集され、辞職勧告決議案(法的な拘束力はなし)が全会一致で可決されました。また都議選翌日の5日付けで都民ファーストの会から除名処分となっています。

地方議会(都議会も含む)では、議員が当選から3ヶ月以内に辞職した場合、次点だった候補(落選したうち最も得票数が多かった候補者)が繰上げ当選となります。連日このニュースはマスコミで継続的に取り上げられていますが、この3ヶ月という期間が焦点となっています。

つまり、10月4日までに辞職すると都議会の勢力図が(多少なり)変わります。この場合、次点は自民党公認候補です。10月5日以降の辞職では繰上げ当選はなくなります。都民ファーストの会と都議会自民党はそれぞれ31議席と33議席とほぼ拮抗した数となっています。(今後は当選した無所属系の議員を取り込んで勢力を拡大する、といったことが起こります)

特に今回自民党は下馬票よりも獲得議席が少なかったたため、1議席でも多く欲しいというのが本音です。そのため、辞職のタイミングがいつなのか、というのが都議会内の駆け引きとして行われていると思います。辞職は既定路線ですが、それが繰上げ当選の期間内に行われるかどうか、ということです。

あくまで推測ですが、私は10月5日以降の辞職になると思います。除名処分とはいえ都民ファの公認候補として一期4年を務めていること、10月に辞めても3ヶ月分の議員報酬は支給されること(約300万円)、もし12月まで留まると冬のボーナスも支給されること(約200万円)と言ったようにすぐ辞める理由が見当たらないためです。

ちなみに、任期は7月23日から始まるため、繰上げ当選を阻止し3ヶ月分の報酬を得るためには10月23日以降に辞職する必要があります。

【繰上げ当選の本来の意義】

本来の繰上げ当選は、選挙で選ばれた議員に欠員が生じて、民意を反映する立場の議員が減るのを防ぐための制度です。この地方議会の「3ヶ月ルール」というのはおかしな話で、欠員が出たら常に次点候補を繰上げられる、とすべきだと思います。(それを認めると、当選者を暴力で失職させるとか、物騒な話になるから3ヶ月に限定にしていると私は解釈しています)

今年1月の埼玉県戸田市の選挙ではスーパークレイジー君という候補が当選し、居住実態がないことで当選無効となりました。しかしそれも選挙から半年後のことです。選挙管理委員会では、3ヶ月以内に実態を見極めて判断を下すのは困難である、ということでもあります。議員が減ると住民の声を代表する議会の機能も弱まります。政治的駆け引きではなく、地方議会が健全に機能する結果となることを願います。